霊仙寺山に立てられていたモノリス(反射板)、あれって一体何だったのか、を今更調べてみた

施設等

霊仙寺山に存在した反射板

長野県飯綱町に長らくお住まいの方なら、霊仙寺山の上の方に「反射板」と称する10m四方ぐらいの板のような構造物が立っていたのを覚えていますでしょうか。現在は撤去済みだと思いますが。
私個人の記憶では、子供の頃に霊仙寺山の登山をしたときに近くを通った気がします。あと、いいづなリゾートスキー場で一番上のリフト(旧名ポア… そんなことを別の記事で)まで上がると、スキー場の最上部よりさらに上の方にこの反射板が見えた気がします。

霊仙寺山の上部という、自然しかない標高の高い山地に、ポツンと、巨大で、何か現代の技術に関係あるであろう物体が立っている、これは子供心の興味を引きました。ですが「これは何なのか」という疑問に対して当時はクリアーな回答は得られず(周りの大人に質問した記憶)、そのまま私の記憶からも薄れていきました。

いきなり余談:モノリスとは

モノリスという単語自体には色々な用法がありますが、私がここでいうモノリスは「2001年宇宙の旅」というSF映画に出てきた、謎の地球外生命体によって設置されたとされる「板」であります。その詳細には謎が多い一方、映画のストーリーの鍵の一部にもなっているという… はい、例によって余談大好きこのブログ、です。

宇宙作業員の前方に見える黒い板が「モノリス」

まあ、「謎の巨大な板」ということで、霊仙寺山の反射板をモノリス1と言ってみたかったのです、それだけです。
さて閑話休題、

古い空中写真で存在をチェック

平成2年のいいづなリゾートスキー場の最上部の辺りの空中写真です:

丸をつけた影がおそらく反射板だと思います。場所的にもこの辺りだったと思いますので。反射板は2つありました。念のため、右側の木がないコースのような部分はいいづなリゾートのゲレンデの最上部です。
ほぼ同じ範囲の令和6年の写真をチェックすると

同じ場所には何も見当たりません(地形がちょっとぼこっとしている?)。撤去済みということでしょう。(植物が豊かになっていて分かりにくくもありますが、反射板の大きさからして草木に埋もれてたりはしないでしょう。)

反射板の目的とは

時が過ぎ、私もとっくに大人になり、子供の頃と違ってネットで情報を集めたり、公共の図書館で文献を調べたりもできるようになりました。その結果、あの反射板の目的が一応判明しました。それは:

  • マイクロ回線で使われる電波を反射して遠方に届かせるための施設

だそうです。

マイクロ回線とは?
この場合、具体的には長野市敦賀にある「国土交通省 千曲川河川事務所」ないし「国土交通省 関東地方整備局 長野国道事務所」と、新潟県上越市高田にある「国土交通省 高田河川交通事務所」の間で災害情報などの電波通信をする設備があるようです。そして反射板はそのための電波を経由させる設備、だったようです。災害時などのために、民間の通信回線とは独立かつ障害に強い通信回線を有しているようです。
(注:役所の正式名称や役割分担がちょっと怪しいかもです。あと反射版が建設された当時は国土交通省でなく建設省でした。部署名なども異なったでしょう。)

なお、現在は違う方法で通信が行われており、霊仙寺山の反射板は不要になって撤去されたようです。

千曲川河川事務所には大きはアンテナ塔があり、確かに通信とかしてそうな感じです。

この情報をもとに地図で通信経路を描くと以下のような経路になります。

マイクロ回線で使われる「マイクロ波」というのは直線的に飛ぶ電波で、もしこれら二つの事務所の間で直接的に電波を交わそうとすると(上図の右の経路)、その間には我らが飯綱町や信濃町といった、長野市や上越市より標高の高い土地があるせいで電波が邪魔されて通信できません。
そこで、霊仙寺山のような標高の高い場所に電波を飛ばし、反射板で電波を反射して通信先に通じさせる(左の経路)、ということだそうです。
平面図での説明でわかりにくいですが、実際には左右方向の反射だけでなく上下方向の反射もしているわけです。例えば長野の事務所から斜め上向きに電波を発信して霊仙寺山の反射板に当てると、電波はそこから斜め下向きに飛んで高田の事務所に到達します。逆向きも同様です。

AIに反射板の役割のマンガを描かせてみました(だいぶ適当):

反射板はなぜ2枚あったのか

普通、光を一回反射させるには鏡が一個あればいいですよね。電波の場合も、上の図のように霊仙寺山の部分で一回だけ方向を変えるには反射板は一枚でいいような気がします。何のために2枚の反射板があったのでしょうか。
実際には以下のように電波を反射していたようです。2枚の反射板の写真を拡大すると

このような配置になっていますが、どうやらこれに対してマイクロ波が以下のように進入・反射するように作られていたようです:

なんだか面白いですね。よくわかりませんが、あえて2枚の反射版を使うのは、なるべく反射板に垂直に近い角度で電波を当てたい、とかあるんですかね。

(実際に反射板の裏表がこういう向きになっていたのか確かめられるといいのですが。上図のような反射のためには反射板の表同士が正対していたはずです。自分も反射板を実際に近くで見たことがあるのですが反射板の向きに関しては記憶に残っておりません。)

(参考)他の電波中継施設

霊仙寺山にあった反射板は、「板」という呼び方に相応しい、ただの巨大な平面でしたが、このタイプ以外にも電波を反射して中継する設備があります。飯綱町の近隣だと例えば三登山の上にパラボラアンテナの塔みたいなものがありますよね。類似のものが野沢温泉スキー場の一番上の部分にも見られます。これらも、電波を反射することによって遠くへ中継する施設だそうです。

子供の頃の素朴な疑問がまた一つ解けた?

このブログには、子供の頃の私が当時持っていた素朴な疑問に大人になった私が答えるという面があるのですが、今回もそのような流れで、一応疑問には答えられた、かな?


  1. モノリスは「モノ (mono) =一つ」+「リス (lith) =石」=「一つの石」という意味ですが、霊仙寺山の反射板は2枚ありましたね。ま、細かいことはいいんです。 ↩︎

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